2006年05月01日

パキスタン:クルスームに笑顔が戻った

パキスタンで昨年10月に発生した大地震は人々の生命と暮らしを脅かした。
数千人の死者と負傷者を出した。またこの惨事により多くの人々が未だ身体的、
心理的な苦痛に悩まされているのである。

突発的事件からなる心理的苦痛は 失った大切な人々や物との思い出に
つきまとわれることとの戦いである。そのほとんどはこれからの生きる活力を
失ったことに苦しんでいる。“人々は通常、受けた衝撃から、不信、拒絶
そして不満を感じるのである”と マンセラのIMC(国際医療隊)精神治療専門家、
ドクター・ジョセフ・アザレ氏 は話した。“私たちはこのGriefGroupを通じて、
その損失を受け入れ、彼が普通の生活に戻れるように癒せるように手助けしていく”と 
マンセラの精神医療チームは孤児と家族を失った人々のために、
個人・グループでの治療を行っている。

12歳に満たない少女、クルスームは実年齢よりしっかり者に見え、家事をこなし
幼い兄弟の面倒をみている。彼女の母親とまだ赤ん坊だった妹、そして兄は
この地震の犠牲者となってしまった。地震が石造りの家を襲ったその時、
彼女の母親はちょうど授乳中だった。その時クルスームは裏庭で遊んでいた。
“まだお母さんの助けて、という叫び声が聞こえて眠れない”とクルスームは言った。
“もしあのとき、お母さんを助けられたら・・あるいはお母さんと一緒に死ねていたら・・”
とため息をついた。“料理や家事をしているといつもお母さんを思い出す”と。

家屋が崩壊したことによって、彼女の家族はIMCが準備したキャンプに
移らなければならなかった。“罪を犯した人にだけ自然が罰を与えたのだと
聞いたけれど、どうして私たちがその罰を受けなければいけないのかわからない”
とクルスームは言った。“私たちの村は緑に囲まれた静かな谷間にあるけれど、
キャンプは私たちには混雑しすぎている。”クルスームの叔母は、地震から
数ヶ月後もクルスームが母を思って嘆き、そして悪夢に取り付かれ続けていたことを思い出した。

マンセラのIMC心理社会責任者であるジーナット氏はクルスームについて
“彼女の表情から、彼女の置かれている状況についてとてもショックを受けた。
彼女の年代の少女に通常みられる笑顔や笑い声というのもは失われているように
見えた。全てが彼女にとってうまくいっているわけではないのだと私は感じ取った。
彼女を遊びの輪に誘ったとき、彼女は幼い兄弟の世話をしなければならないから
行けない、と答えた。その答えに私は非常に驚きを覚えた。”と語った。
クルスームがその遊びに交わるまでジーナット氏は幾度も彼女を訪れた。

クルスームはきちんとした学校に通ったことがなかった。彼女の弟がテント村の
学校に行っている現在でさえもだ。ジーナット氏は学校に参加するように言ったが、
彼女はこう答えた。“恥ずかしいし、私の学歴について誰かがもし質問してきたら
どうしていいのかわからない。”しかし、彼女は人生においてこのことが
素晴らしい経験であるということを決して知ることができないのだ。
彼女は悲しみを分かち合い、同様の問題を抱えるほかの人々と助け合うことを
学び勇気付けられたのだ。ペンの使い方を決して知ることの無かった少女が
絵を描こうとしていることは新たな一歩なのであった。

“子ども達には、思ったまま絵を描くようにと話した”とドクターアザレ氏は言った。
このことは子ども達が何を感じているか、という心理的治療にいい効果をもたらすのである。
IMCはまた、率先してコミュニティの意識化を実施している。この計画は地元の
人々が事例を照会できるよう能力開発を施し、心理的苦痛に悩む人々への
応急処置やアフターケアサービスを提供することが目的である。
このことはクルスームと同様の悩みを抱える人々を助けるであろう。
“私たちはいま大きな家族のようなものなのです。つまり、みんなが悲しみに
打ち勝つ助けをしてそれぞれに抱える問題をシェアする勇気を持っているのです。”
とジーナット氏は言った。チームは個人・グループ、双方にて治療を行っている。

クルスームは今、再び元気を取り戻している。母親を失ったことは忘れられないが、
彼女は泣くことを止め、現実に立ち向かっている。“今はよく眠れるようになったし、
学校で遊ぶのが楽しみ。キャンプにはたくさん友達もできたし
授業のあといっぱいおしゃべりをしているわ”と笑顔で話した。
“このお人形さんが来週結婚するの、私の友達もみんな招待するのよ” 
彼女は自慢げに自ら作ったおもちゃの家を見せてくれた。
“かわいいおうちを建てたり絵を描いたりするのがすき。
いつかこんな素敵なおうちをみんなで建てたいの。”


情報源: International Medical Corps (IMC・国際医療隊)
原文URL: reliefweb.int
*著作権は情報源に帰属します。
ラベル:地震
posted by CODE at 10:11| アジア | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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